打ちっぱなしの壁に誰がイタズラしたのかカラフルなペンキが所々に付いてるのが印象的。






天井から吊り下がった複数の裸電球に昔連れていってもらった、ママの出演する映画の撮影現場を思い出した。








「そうなんだよねー。

ま、全員集まったら、結構良いサイズだよ。


玲夜~~!」









私の呟きに答えて、大声で玲夜を呼ぶ。








そのお陰でそれぞれの作業に集中していた人達が私たちに気づいてザワザワする。









「あ、あれ。昨日の……。」






「マジだ。

何でこんな時間に『泉さん』と?」







何て、話し声が聞こえる。



『泉さん』って、『冠城さん』の事か。







「泉!おせぇよ!」







そうやってぶつくさ言いながら、2階の一室から出てきて階段を下りてくる玲夜。








いや、そんな大声出さなくても。








「お前に頼んだの、俺の夕飯なんだけど?

もう3時になっちまうじゃねぇか!

………ん?」








パチッと玲夜と目が合う。




「「…………。」」




今日は人とよく目が合う日だな。





「はぁ!?仁那、何してんだよ!

お前、今何時か分かってっか?!」





ゴンッ!





「い゙っ!」







私に怒りながら頭突きをかました玲夜。






凄い音した……。






「仁那、自分が女って自覚あるか?

…………ん?仁那、お前……。」






私の顔前で説教する玲夜が私の目を更にじっと見つめる。






「……?」








「あーー、はいはい。

それはさっき俺が言っといたから。

で?京は?」








呆れたような声の冠城さんは、玲夜にやれやれと言う目を向けて聞いた。