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「良かった…。」





そう呟いて、車体に咲く紫と白の花に口付けた。






あの場から走って十数分。






幸い人の目につかない場所に置いていたから、誰にも傷つけられることなくその場にあった。







「無我夢中で走ってきたけど…。」






彼らは、相当有名みたいだし、周りの噂を聞いている限り、強いらしい。







勝手に去って、怒られる?







「…でも、もう会わない筈。」







私は、会うつもりは無いし、あっちも逃げた私を探さないだろう。