いつか君に




その夜



久しぶりに早めのに帰宅ができた彰。


先程からトークアプリでクラスの生徒たちがテスト範囲に関して共有しあったり他愛もない話で盛り上がっていた。



「ほんっと好きだなぁアイツら。」


その日は特にトークに参加せず読みかけのまま放置していた小説を手に取り読み返していた。

もともと物語が好きで子どもの頃はファンタジー長編物などを時間をかけてじっくり読むのが趣味だった。

大人になるとなかなか長編物を読む時間がなく、読み終わるのに数ヶ月を要するようになり、小説に切り替えた。


PM9:00


携帯の着信音。
グループトークとは別の着信音。


嫌な予感がしてすぐに携帯を開いた。


「sakuraさんからメッセージが届いています。」



「来たか。」



すぐにメッセージを開く。



「誤解されちゃったみたいだけどイタズラじゃないよ?」



彰はすぐに返事をした。


「イタズラじゃないと言うのなら君はなぜ裏アカでメッセージを送ってきたんだ?」



「心の準備。」



「意味がよくわからないな。」


「先生は自分のクラス好き?」


「もちろん。」



「私も好き。このクラスになれて、担任が成沢先生で嬉しかった。」


「それなら聞かせてくれないか?学校を辞めると言った理由。」



「まだダメ。今は言えない。心の準備ができていないから。」



「じゃあどうして俺に辞めると言ったの?」



「うーん。。聞いて欲しかったのかな。」



「矛盾してないか?心の準備とやらは?」



「そうだね。矛盾してる。」



「俺に出来ることはないかな?理由も何も聞いてない上でこんなこと言うのは違うかもしれないけ君が本当にウチの生徒だとしたらどの学年、どのクラスの生徒であっても辞めて欲しくない。」


「それは先生の生徒に対する説得マニュアル?」


「そんなマニュアルないよ。率直に思っただけだよ。」



「そっか。でも、無理かな。私が誰なのかがわかって学校辞める理由がわかったとしても私が辞める事には変わりないから。」



「今日分かったことは1つ。」



「何?」


「君がおそらく俺のクラスの女子生徒なのかもしれないって事。」



「先生探偵みたい笑そっか。油断しちゃった。一人称私って、付けたら女子だよね笑」



「だろうし、君がウチのクラスじゃなければ俺にメッセージくれた事も今話した何もかもが嘘ってことになる。それじゃあやってる事の全てが無意味ってことになるからね。」



「そうだね。ヤバイなーボロが出て来ないか心配になってきた笑だから今日はこの辺でやめとくね。」



「1つ聞かせてくれないか?」



「何?」



「学校、楽しいか?」



「嘘偽りなく楽しいよ。今までの学校生活で1番今が楽しい。」


「わかった。答えてくれてありがとう。」


「先生。」



「ん?なに?」



「また、メッセージ送ってもいい?ってこっちから勝手に送り始めといてなんだけどさ。」



「もちろん、待ってるよメッセージ。」



「ありがとう先生。おやすみ。」



「おやすみなさい。また明日元気に登校してこいよ。」



彰はメッセージを送り終えると静かに携帯を置いた。