ダ・ヴィンチのドア


そうだ…!確かテスト前の、鮮やかなヒマワリが種子を落としたあの日。

一足遅い夏祭りの夜市。金魚すくい。可愛いツヤツヤしたリンゴ飴。

カチャカチャ…

「いらっしゃいませー!」

ザワザワ…

「次、二人で何を食べよっか?」

たわいもない会話のキャッチボールが楽しいーーー。



そう感じていたはずだった。

18歳の冬。鮮明に甦る、初めてのデート。

25歳の夏。熱射病を患いながらの、何回かのデート…

29歳の私達は、
なんとなく結婚を意識する年頃になっていた様に思う。


「式場巡り、次は何処にする?」

「フルコースは和食と中華、洋食か…どれが良さそう?」

「貯金お互い頑張ろうね!100万貯まる毎に、
またご褒美デートしようね…!!」


「痛いなぁ…。」

キキィーッーーー。



足元を見ると、手が透けている。周りに彼の姿もない。