最後の一口になったときには、既にあたしの頭はふらふらしていた。
意を決して、最後の一口を口に流し込む。
「はあ……やっと飲み終わった」
あたしは滑舌の悪い口調でこう言った。
「一缶を十五分かけて飲む女の子、初めて見た」
ロアは平然な表情でくすくす笑っている。
「だから、お酒苦手だって言ってるじゃないですか」
あたしはふらふらと立ち上がって缶をゴミ箱に捨てる。
「ほらほら、危ないよ。本当にお酒弱いんだねぇ」
物珍し気に見られ、あたしは口を吊り上げた。
「どーせ、ロアさんには敵いませんよっ」
「当たり前でしょ」
どうやらロアは、謙遜という言葉を知らないらしい。
ロアは立ち上がり、ソファの背もたれを倒してベッドにした。
「今日はここで我慢してね。ベッド、ここしかないから」
「えっ、ロアさんどこで寝るんですか?」
「ん、僕は椅子で充分。机に突っ伏して寝るよ」
「そんな、悪いですよ! あたしがそうしますからっ」
「僕は女の子にそういうことはさせたくないの。いいから、こっちで寝てよ」
ロアはにっこりと笑顔でソファを叩いた。
「……ごめんなさい」
あたしはそっと目を伏せる。
「リンちゃんねぇ、なんでそんなに謝るかな?」
ロアは肩を竦めてあたしを見つめた。
「謝るの、癖?」
「いや、多分違うとは思いますけど……」
突然そうなったんだから、自分でもそんなこと分かるわけない。
「謝らなくたっていいんだよ。僕がしたくてしてんだから」
「じゃ……ありがとうございます」
あたしは微笑んでこう言った。
ロアは「いいえ」とあたしと同じような笑みを浮かべる。
