雪と断罪とそして、紅



それから程無くして。





「アンジェラ!アンジェラ、しっかりして!」





ママは意識のないアンジェラを必死に呼んでいる。






でも、アンジェラはベッドの上で固く目を閉じて開かない。





私はアンジェリアと手を繋いで、そんなアンジェラの手を握っていた。






アンジェラはつい二時間ほど前に小学校の同級生に理由も分からず、突き飛ばされて頭を打って病院に運ばれた。






打ち所が悪かったのか、アンジェラは意識を取り戻さない。






「あんたの娘は何てことをしてくれたんだ!?」






パパは病室の入り口の所でアンジェラを突き飛ばした同級生の親相手に怒鳴っている。





同級生の両親は顔を真っ青にして土下座をしている。




土下座までしなくても良いのに……って思うけど、そうはいかないんだと思う。





パパは私達が通う小学校に多額の寄付をしている所謂お金と力のある人で、逆らえばどうなるか同級生の両親は分かってるんだ。





「ねぇ、アンジェリア。アンジェラ、起きないね」




「そうだね、アンジェロ。でも、アンジェラはもう少しで起きる気がする」




「私もそう思う」




そんな私達の会話は狂ったように泣き叫ぶママと狂ったように怒るパパには届いていない。