「それで……何て言ったんだ?」
「それは……その……」
しどろもどろになっていると、寿永隊長は小さく笑って私の頬をつねった。
「言いたくないなら言わなくて良い。帰るぞ」
頬から手を離した彼は私の手からも手を離して、先に歩き出す。
離れてしまった手が名残惜しい。
何でこんなことを思うのだろう?
「ま、待ってください、寿永隊長!」
歩き出した彼を私は呼び止めた。
呼び止められた彼はゆっくり後ろを振り返って、さっきと同じ真っ直ぐな視線で私を見つめてきた。
夏が終わって、少し冷たくなった秋の風が私達を撫でていく。
「私は何があっても寿永隊長の傍に居続けると伝えました。私の行く道に貴方がいないのは有り得ないんです」
そう、私の行く道は寿永隊長が歩く道と同じ。
何があっても違えることはない。



