雪と断罪とそして、紅



「どうしたの?」





アリスさんは目元をぐいっと拭うと、その研究員の方を見た。







「今……芦屋のDNAから新しい子が生まれました……っ!最後の人が生まれました」





研究員は何故か泣いていて、アリスさんの頬にも一筋の涙が伝った。






……命の誕生は平等だ。





母親から生まれた赤ちゃんもフラスコから生まれた赤ちゃんも新しい小さな命。






祝福されなくてはならない命だ。






「芦屋……陰陽師か……」





アリスさんはクスリと小さく笑うと、俺の方を見た。






「和泉」





「は、はい!」






「新しい命を見に行くよ」





そう言って俺の手を握って歩き出す。






彼女の手は重すぎる重責を抱えるにはあまりにも小さかった。






でも、力強さが感じられた。





「和泉」





また彼女が俺を呼ぶ。