「人体実験が必要だったことは理解してる!でもっ!でも、何かに当たらないとやっていけないの!」
「アリス!」
アリスさんは悲痛な叫びをあげながら俺の胸ぐらを掴んだ。
でも、羽取さんが俺の胸ぐらから引き離す。
「何で……何で私は大切な人を失わなければいけなかったの……?何で和真は……天河は死なないといけなかったの……?」
彼女は泣いていた。
さっきの威厳のある姿とは裏腹に、後悔や悲しみの込められた泣き顔。
あぁ、俺はこういう顔をさせたかった訳じゃない。
俺はただ、アリスさんに笑っていて欲しかっただけなんだ。
俺は笑っている彼女が好きだから──。
「和真……天河……」
でも、彼女は今でも二人を想って泣いている。
それだけ大切な人だったのは分かってる。
だけど──。
「アリスさんには俺がいるだろ!?」
アリスさんの華奢な肩を掴むと、つい声を荒上げてしまった。



