──ずっと彼女を見ていた。 誰よりも綺麗で、誰よりも頭が良い彼女を。 でも、彼女が俺のものになることはない。 彼女が見ているのはいつも俺じゃない、いつも俺の大切な人。 だから、彼女が俺を見てくれなくても平気だった。 ──彼女はいつも大切な人を失う。 大好きな婚約者も好きになってしまった仇の血を引く青年も。 彼女の目の前で死んでしまった。 彼女はいつも大切な人を失う……。 俺は……簡単には死にませんよ。 だから、俺を好きになってください。