「寝ちゃったね……」
泣き疲れた詩依は冬雪の膝の上で眠ってしまった。
その姿は子供が親に甘えるモノに似ていて、何処か微笑ましい。
冬雪は詩依の頭を優しく撫でながらいとおしそうに目を細める。
「詩依は偉い子だったよ。冬雪が眠っている間も泣き言は言わなかったし、ちゃんと全てを理解していた」
「うん、見てたから分かってる」
「見てた?」
「うん。私、目を瞑っていたけど意識はあったの。だから、詩依の成長も感じられてた」
てっきり植物状態だと思っていたが、実際は目を開けないだけで意識を持っていたらしい。
ってことは……。
「俺のことも見てた?」
俺の問いに、冬雪は少し悲しそうに笑うと小さく頷いた。
「見てたよ。毎日毎日私の手を握って頬を撫でて、涙を流す姿を……」
……参ったな、見られてたのか。
俺は苦笑いを浮かべると、ベッドの端に座って詩依を真似るように冬雪の膝の上に頭を乗せる。



