雪と断罪とそして、紅



「お母さん……」





詩依は冬雪に駆け寄って抱き着くと、声を上げて泣いた。





冬雪もやっと抱けた我が子を強く抱き締める。





「やっと抱き締められた……、ずっと抱き締めたかった……。ずっと話したかった……、生まれてくるのを楽しみにしていたから……」







「私もお母さんと話したかったの……。やっと、やっと話せた……」






二十年という長い時間が過ぎてしまったけど、二人の願いは叶えられた。







「やっと家族が揃ったね……」





頬に涙が伝うのを感じながら、俺は最愛の妻と一人娘を抱き締めた。





過ぎてしまった時間は戻らない。





でも、そんなのは今から過ごせる時間に比べたら短かったのかもしれない。





それでも、俺達家族にとって二十年の月日はあまりにも長すぎた──。