雪と断罪とそして、紅



それから数日後。




「依良、そんなにイライラしないでよ」





大怪我をして藤邦の病院に運び込まれた玖下は早々に蓬條の使用人の寮に戻ってきた。





本人いわく、「こんなの掠り傷だから仕事する」と言って無理矢理退院してきたらしい。





が、玖下の怪我は掠り傷なんてもんじゃないから俺が仕事をさせずに無理矢理寮の自室に寝かせている。






そして、今俺はそんな玖下を見舞いに来ているのだが、イライラが止まらない。






「イライラもするだろう。呪いが解けたのに何故冬雪は目覚めない?」





「僕が分かるわけ無いじゃない。あー、早く冬雪ちゃん目覚めてイライラしてる依良を宥めてー」





イライラ連呼するな、名前を連呼されてるみたいで嫌になる。





そんなことを心の中でぼやきながら、俺はため息を吐いた。





すると、廊下からバタバタとうるさい足音が2つした。






かと思えば、勢い良くドアが開いた。






「依良!」





「お兄ちゃん!」




そこにいたのは双子の弟の良威と年の離れた妹の紗也だった。