雪と断罪とそして、紅




「私を愛して……」





その言葉を僕は拒めなくて、さっき彼女がしたように自分から彼女に口付けていた。






──僕は何で彼女を拒めなかったんだろう?





多分、理由は単純でアリスちゃんに似た顔した彼女が僕に愛を乞うた。






それは僕がアリスちゃんに乞うても貰えなかったもの。






僕はそんな愛を乞うてくれる彼女をアリスちゃんの代わりとして見たのかもしれない。





僕は彼女に望まれるがまま、彼女を愛した。






何度も彼女の名前を呼んで、彼女も教えた僕の名前を何度も呼ぶ。






最低なことだけど、僕は彼女を本当に愛してあげることは出来ない。






それでも、愛されてると思って嬉しそうに笑う彼女の姿が見れて嬉しかった。






何でそう思うんだ?





僕は切碕ヒカリ。





現代に蘇ったジャック・ザ・リッパー。






人の心なんてもうとっくに捨てたというのに──。