雪と断罪とそして、紅



ん?




何か様子が変な気がする。





「……良いね、愛してくれてる人がいて。私とは大違い」





ふと、手首とスカートの裾の辺りに青アザがあるのを見つけた。





もしかして、この子……。





「私ね、親に愛されてないんだ……。生まれてこなければ良かったって言われたんだ……」





子を愛する親もいれば、愛せない親もいる。





そんなのは当たり前だ。





でも、フラスコの中で生まれた僕からすれば親がいるだけましだと思う。






そう思うけど、彼女を見ているとそんなこともないのかなって感じた。






親なんていなくても良いのかもしれない。






「……僕も生まれてこなければ良かったって思ったことはあるよ」





「え?」





「僕は親の顔も知らないし、親の愛情なんかもらったことない」





普通は母親の子宮で育って生まれてくるけど、僕はそんな生まれ方をしてない。






僕が殺した女から子宮を奪うのはそれが理由だ。






僕がいたことのない場所に命が宿って生まれてくるなんて……。