雪と断罪とそして、紅



でも、訂正するのも面倒だからそのままにしている。





「何?」





「貴方は誰かに愛されたことがある?」






愛されたこと……?





僕が愛されたことか……。





「あったかもしれないな」





「どんな人が愛してくれた?」





「どんな人って……。僕の子供を産んでくれた人とか僕に名前をくれた人かな」





僕の子供を産んでくれたあの子はもう死んでしまったけど、僕を愛していたはずだ。






名前をくれたあの子は昔は親よりも僕に大好きと言うくらいなついてくれていたけど、今は愛してくれていない。





「子供いるんだ……。その人達のことは今でも愛してる?」





「さぁね。どうだろう……」





死んでしまったあの子は名前のない僕を愛してくれていたけど、僕は彼女を愛していたのだろうか?






子供を作るくらいだから愛していたんだとは思う。





名前をくれたあの子のことは今でも愛してるし、誰よりもいとおしい。






受け流すように答えると、彼女はベンチの上に足を上げて膝を抱え、「ふーん」とだけ言った。