弟にバレればそのまま親に伝わり、そうなれば彼らからなにを言われるかわからないためにズル休みをすることも許されず、
今日行けば2日間の至福が待っていると自分に言い聞かせ、やっとの思いで登校した。
階段の途中で会ったみいと別れた先のお隣の経理課さんは、朝っぱらからせっせと計算をしていやがる。
「なんかもう、計算のために早くきてるでしょ」
鞄を置き、少し笑いながら話し掛けると、計算を愛する小野寺くんはぴくりと肩を震わせ、こちらを見ると「びっくりした」と笑った。
「よく飽きないね、毎日毎日」
「呼吸みたいな感じ」
「えっ?」
「呼吸って無意識にしてるじゃん。そんな感じ」
「わかるようなわからないような。無意識に計算始めちゃうの?」
「そう言うと……なんでだろう。すっげえ変態感出るな」
「だって変態でしょ?」
鞄の中身を机の中へ入れながら言った言葉に「変態なの?」と返した小野寺くんの声に、「変態だよ」と瞬時に返した。
「だって、未だかつて誰とも共有できてないんでしょ? その……趣味というか癖(へき)というか――は」
「うん」と苦笑する小野寺くんに「じゃあやっぱり変態だよ」と返し、空にした鞄をロッカーに入れに行った。



