「大丈夫? アレルギーかなにか?」
「いや、違うはず……」
口元を押さえた手で人様の電卓を叩くわけにもいかず
ワイシャツのポケットからちり紙を出すと、それは犬のキャラクターが描かれた、中身のないパッケージだった。
「本当に申し訳ない、ちり紙持ってる?」
「チリシ……? 広告のこと?」
「それチラシ。ちり紙、ティッシュ」
「ああ、ティッシュ」
ごめんごめん、チリガミって言うもんね、と言いながら、小野寺くんはよさ気なポケットティッシュを渡してくれた。
「かたじけねえ」と言って口元を押さえなかったほうの手でちり紙を1枚取った。
普段自分が使っているものより明らかに触り心地のよいそれで手を拭き、小野寺くんとの計算を再開した。



