翌日、軽くなった髪の毛にウキウキしながら登校すると、
校門前にいた小野寺くんをくしゃみで驚かせ、彼に「髪の毛切ったんだ」と言われた。
「頭が軽いぜよ」と笑い返すと、「似合ってるよ」と素敵な笑顔が返ってきた。
おいおい王子様、朝からその笑顔は反則だろう、イエロー挟まずにレッドカード出すぞと心の中で騒ぎつつ、
「ありがとう」と余裕があるかのような笑顔を返した。
昇降口で再びくしゃみをすると、「朝から賑やかだねえ」とみいの声が聞こえた。
そちらを振り返ると、眉間にしわを寄せて耳をふさぐみいがいた。
「ファミリーのレストランに行ったときの他所用くしゃみはどこいったよ」
朝から血圧が棒高飛びしてるよと言いながら、みいは廊下に上履きを放る。
学校指定の明るい茶色のローファーを下駄箱に入れ、上履きに履き替えるとこちらを振り返った。
黙ってわたしを見つめる。
「……頭切った?」
ぽかんとした顔で放たれた恐ろしい言葉に、「頭は切ってないな」と瞬時に返す。
「ああ、髪の毛だ」
「あ、うん。髪の毛切った」
似合うかい?と顎のラインで揃えられた髪の毛をいじると、
「里香、今度前髪なくしてみたら?」と言われた。
目の前の友人にわたしはどれほど勇気がある人間に映っているのだろうと思いながら、
「無理 無理 絶対」と素早く首を振る。
とんでもないいじめっ子と交友関係を築いてしまったのか、彼女はさらに
「前髪伸ばして分けたらかわいいと思うけど」と放った。
そう言うみい自身、真っ黒な美髪が作るロングヘアで、前髪はしっかりある。
きっと、そのせいで余計にみいがいじめっ子に見えるのだろう。



