ばーか。〜あいつを振るなら、俺がその理由になってやるよ。〜



校門前、赤い無地の襟巻きを鼻の辺りまで上げ、灰色の空から降りてくる雪を眺めていると、

「おう、ちび」とカケルの声が聞こえた。

「ちびじゃないっ」と叫びながら振り返ると、カケルは楽しそうに笑った。

普段はちょっとやそっとでは笑わないくせに、こうしてわたしをいじめるときだけ最高にかわいく笑いやがる。


「帰るか」

カケルの声に「うん」と答え、2人で自転車を押して歩き始めた。

いつも、近くの横断歩道を渡るところまではこうして歩く。

横断歩道を渡りきったら手を振って、自転車を漕ぐカケルの後ろ姿を見送る。


今日の信号は何色だろうと考えながら歩いていると、やがて点滅する歩行者用の信号が現れた。

今点滅しているようでは止められるなと悟ると、わたしは心の中でラッキーと呟いた。