ばーか。〜あいつを振るなら、俺がその理由になってやるよ。〜



もう鼻の異物感は放っておくしかないと考え、水筒の中身を一口飲んだ。

「大丈夫?」と笑いながら尋ねるみいに、「諦め」と返す。


「えっ、ていうか、改めて展示会ってなに?」

「いやあ、翔ちゃんが言ってたんだけど。

なんか、毎日ランダムで、誰かの自転車が置き場の天井みたいなところにぶら下げられてるんだって」

毎日なんだ、と笑ってから、「えっ、どうやってぶら下げるの?」と訊いた。

「なんかねえ……屋根を支える鉄筋みたいなのがあって、そこに自転車のハンドルが引っ掛けてあるんだって。

しかも、エスカレートすると屋根の上に乗ってることもあるんだとか」

放課後、置き場に行くのが遅れると絶対展示ですって、とみいは付け加えるように笑った。

彼女の語尾に合わせ、「なんですって?」と返す。

やはり数秒の時間が静止と静寂に消え、「どうした?」と言うと「どっちがだよ」と返ってきた。