ばーか。〜あいつを振るなら、俺がその理由になってやるよ。〜



カケルの西高でのくだらない学校生活を覗くことができたのは、翌日の昼休みだった。

昼食中、みいはいきなり噴き出すように笑った。

「なに、ホラーだよ……」

「いやさ、この学校って、自転車の展示会あるっけ?」

「自転車の……展示会?」

「そう。自転車置き場にて行われるらしいんだけど、

毎日ランダムに誰かの自転車が置き場の天井にぶら下げられるの」

「いや、そんなぶっとんだこと行われないでしょ。わたし徒歩だから、自転車置き場の様子はわかんないけど」

「いやあ……面白くない?」

謎にどや顔で迫ってくるみいに、「ちょっとわかんない……」とゆっくり首を傾げた。

 
「ていうか、そんな変なことどんな学校で行われてるのさ」

「ちょっぴり離れたお隣さん、県立西高等学校だす」


突如聞き覚えのある語尾とともに飛び出した西高の名に噴き出しかけ、口の中にあった米粒が鼻にまわった。

「ちょっ……お米粒、お米粒が鼻へお越しに……」

なんとも言えない鼻の辺りの異物感に慌てていると、みいはぎゃははと楽しそうに笑った。