ばーか。〜あいつを振るなら、俺がその理由になってやるよ。〜



みいがどうしようどうしようと繰り返したのは、翌日の昼食中だった。


「はあっ、どうしよう」

「どうしたのさ」

たくさんの人に否定された餃子むすびをかじりながら返し、もしやと思った。

「さてはお主、この餃子むすびの素晴らしさを思い知りやがったな?」

「全然違うよ。翔ちゃんさ、飽きっぽいって言ってたじゃん?」

「ああ……翔ちゃん。お久しぶりでございますー」

「昨日、久々にあったんだけどさ。

そのときに、翔ちゃんの飽きっぽい性格について話したのよ」

「ほうほう」

「そしたらさ? 元カノと1年付き合ったって言ってたじゃん?」

「はいはい」

「そしたらね? それ2人目だって言うの。

1人目はって訊いたら、中1の冬頃に付き合い始めたらしいんだけど、すぐに飽きて中2の夏休み前に捨てたって言うの」

みいの悲しげな声が並べた言葉に、どきりとした。

「ねえどうしよう? あたし、翔ちゃんにとって3人目の彼女ってことでしょ?

半年、1年ときたら、次また半年じゃない?」

「ちょっと待ってちょっと待って?

わたし今、特殊能力を取得したのよ。その翔ちゃんとやらの名前、当てていい?」

「そんな脳天気なことしてる――」

そんな脳天気なことをしている場合じゃない、と言いたかったのであろうみいを遮り、

「遠山 翔でしょ」と言った。