ばーか。〜あいつを振るなら、俺がその理由になってやるよ。〜



翌日、くしゃみとともに教室に入ると、みいを含むすでに教室にいた生徒の3分の2ほどの視線が向けられた。

「驚かせてしまってすまないのう」と独り言として呟き、軽く頭を下げながら席へ向かった。


小野寺くんはすでに、自席でシャーペンを握ってい。

どんなものを解いているのか知らないが、朝から計算などして疲れないのだろうかと思った。

わたしならば、起床から大して経っていないこの時間だと九九で体力を使い果たす。


「もう計算してるんだ」と言って机に鞄を置くと、

少し驚いたような表情を向けられたあと、「おはよう」と素敵な笑顔を見せつけられた。

おはよう、となるべくかわいく見えるように笑ってみるが、

恐らく頑張っているほどかわいくは見られていないだろう。


去年の夏休み中にボブに切ったきりの、今ではセミロングほどの長さにまで育った髪の毛をすべて後ろへ放り、

そろそろ切りに行こうかと考えつつ荷物を片付け始めた。