長々と席替えの結果について考えていると、わたしのため息を聞いたみいが笑った。

「朝からため息なんてつかないでよ。いいじゃん、この席順」

「嫌あよお……」

わたしが言った直後にくしゃみをしてしまうと、みいは心臓に悪いからするときはするって言ってよととんでもないことを言った。


「はあ。てかもう本当に最悪ー」

「そんなに? 最悪って、最も悪いってことだよ?」

「最も悪いでしょうよ。隣の席があの小野寺くんでっせ? かなりの女子を怒らせたに違いないって」


1か月が長いよと嘆くわたしに、みいは「いやいや」と笑う。


「里香は悪くないじゃん、くじ引きで決めたんだからさ」

悪いのは運だよという慰めのものだと信じたいみいの言葉に、「この悪運が嫌なんだよ」と返す。

「じゃあ、次回はあたしが里香の隣の席になってあげるよ」


みいの超能力者のような言葉に、わたしは勢いよく頭を上げた。

小野寺くんがいない空席の隣にいるみいは自慢気な笑みを浮かべている。


「そんな素晴らしいことができるなら今回してくれればよかったじゃないかい」

「今回はできなかったよ、先生に頼んでないもん」

「先生になんて頼むの?」

「次回の席替えは先生が決めてくださいって言って、あたしを藤崎の隣の席にしてくださいって言うの。

里香が隣の席にならないといけないような理由をつけてね」

みいはピースサインをする人差し指と中指を数回折ると、綺麗なウインクを付け加えた。

わたしは、「じゃあ来月よろしく」と返す。

みいは担任と時々話すこともあるような仲だから、来月は本当に隣の席になれるかもしれないと期待した。