週の終わり頃には、わたしに数学後の休み時間は与えられなくなっていた。

とうとう誤差が10に達し、個別指導行きとなったのだ。


個別指導から開放され、心身ともに疲れきった状態で教室へ戻ると、友達のゆうが出迎えてくれた。


「里香おつかれー」

「本当にお疲れだよ。ゆうにはわかんないでしょ、数学を学ぶことに対するストレス」

わたしが言うと、ゆうは「ははは」となにかをごまかすように笑った。


ゆうはわたしと違い、頭がいい。

得意教科は、数学と物理、英語。

どれもわたしが特に嫌いなものだ。

必ず1つ以上好きな教科を選べとなると、わたしは生物が好き。


「ゆう今度さあ、教えてくれない? 数学」

「いいよ、全然。ただ、わかってね?」

「えっ、ゆうちゃん厳しい……」

わたし悲しい、と下唇を突き出すと、ゆうは「冗談冗談」と楽しそうに笑った。

笑い事じゃないよと泣きそうな声で返す。