ばーか。〜あいつを振るなら、俺がその理由になってやるよ。〜



結果、ここ数日雨が続いた末に晴れた天気くらいしか話題は見つからなかった。

カケルは窓の外に広がる青空を見ているのだと言い聞かせ、「今日は晴れてるね」とカケルに話し掛けた。

「ああ」という声とともに、窓のほうへ向けられていたカケルの視線が返ってくる。


「でも俺……なんとなく雨が好き」

「あっ、そうなんだ……」

初めて聞くカケルの好きな天気に、わたしにはカケルの知らない部分がたくさんあるのだろうになと思った。

その、未だ自分が知らないカケルを知りたいと。

しかしカケルのほうは、わたしから新鮮味を感じることがなくなった。

わたしはまだ、カケルに好きな天気も好きな食べ物も教えていない。

なのに彼は、わたしのそれらを知りたいとすら思えなくなってしまったのだ。

それはつまり、わたしが完全にカケルの眼中から消えたということだ。


数秒間目が合っていたにも関わらず、わたしが初めてした髪型になにも言わないのも、きっとそれを示しているのだろう。