昼食中、みいは「むふふ」と不気味に笑った。

「なになに」と餃子むすびを手に返す。

「あたし……早速付き合っちゃった」

「嘘っ、私立先輩と?」

「だから私立先輩やめて。まあ、そうだけど」

「へえ、すごい。どっちから?」

「向こうから。昨日、また先輩のいるコンビニに行ったのよ。他では見ないお気に入りのジュースを求めて」

「ほうほう」

「そうしたら、ほぼ貸し切りみたいなくらいに空いてて」

ほうほう、と頷き、台形になった餃子むすびをかじる。

「それで、他のお客さんはもう1つのレジで済んじゃって、先に帰っちゃったの。

それから、もう1つのレジをやってた店員さんはどっか行っちゃって、ほぼ2人きりみたいな状態になって」

「ほうほう」と相槌を打つ声に力が入る。

「そこで訊かれたの」

「そういえば……君って彼氏とか、いるのかい?」

アニメのイケメンキャラをイメージした声色で言うと、みいは「全然似てない」と言った。

その先輩のことは知らないのだから許してくれよと言わせる間も与えず、みいは話を続けた。