校門をくぐって間もなく、家であれから5回近くしたはずなのにくしゃみが出た。
校門から昇降口までの100メートル弱の距離には多くの生徒がおり、
そのほとんどがわたしのくしゃみに反応してか振り向いた。
しかし、少しして彼らが前を向いたあとに再びくしゃみをしても、今度は彼らも振り向くことはなかった。
はあと長く息を吐くと、
「朝からそんなに賑やかじゃ、君を見ていたかもしれない男子もドン引きだよお?」
とみいの声が聞こえた。
君を見ていたかもしれない男子というのが誰かを気にする前に無視して歩き出すと、慌ただしい足音が追ってきた。
「里香ってなんでそんな頻繁にくしゃみするの?」
みいは隣にくると、質問とともに顔を覗き込んできた。
「知ったことあるかい。朝は誰だってくしゃみ出るでしょ」
「朝昼晩 時間問わず出るけど、そんなに何回もは出ないよ」
「君君い、嘘などつかんでいいのじゃよ?」と言うと、「1ミリも嘘じゃないよ。心配してくれてありがとう」と返ってきた。



