「……で、ここ掛けるんでしょ? だから――」
最後に答えを書き、ほらっ、と言ってノートを見せつけると、「誤差3」という鬼のような言葉が返ってきた。
2年生に上がったとき、1年生の頃の授業中に貯めた200ものポイント――わたしたちの間では誤差点呼ぶものを、
この空き教室でゼロにできたら個別指導は終わらせてやると言われていた。
誤差点は、1問正解するごとに10ポイント消される。
しかしその誤差点が今、たった3の違いで30も追加された。
「嘘でしょ? てか先生、今誤差点どれくらいあるんですか?」
「150」
「はあ? 15問も正解しなきゃいけないの? 卒業する頃にも絶対100はあるじゃん」
「15問を解く気がないのかさらに誤差点を稼ぐつもりなのか知らないが、卒業前にはせめて1桁にしておけ」
「ありえない。先生まじで正気?」
それはこっちのセリフだという男性教師の声に、わたしは「新手の児童虐待だよ」と呟いた。



