昼休みの計算大会は、1週間も続けると、

わたしたちの仲を友達という言葉が似合うものに変えた。


すっかり雨が降っていることが当たり前となった6月中旬の昼休み、

わたしはやはり、薫くんの計算に付き合っていた。


学校の王子様、小野寺 薫を薫くんと呼ぶようになったのは、ほんの数日前からだ。

昼休みの計算大会を機に距離を縮めたわたしたちは、計算以外のことも話すようになった。

そうして言葉を交していくうち、わたしを藤崎と呼んでいた薫くんが

わたしを里香と呼ぶようになり、わたしは調子に乗って、王子様の呼び名を小野寺くんから薫くんに変えた。

こんなことをしているからみいにいじられるのだろうとも思ったが、

他の女子の視線も気にならないものだから、これでもいいかもしれないと思い始めている。