「じゃあ、俺たちは2件目行くから。またなー。」

早坂くんとその従兄くん(結局名前を覚えられなかった・・・。)と、
南さんのお友達2人は意気投合したようで、そのまま4人で二次会らしい。

私と南さん、青木さんと一之瀬さんの4人は駅へ向かってゆっくりと歩き出す。
南さんがしっかりと青木さんの隣をキープしているので、必然的に私と一之瀬さんが隣になって歩くことに。

どこに住んでるの?一人暮らし?
料理はするの??
なんて、南さんが青木さんに質問攻めしている後ろを、無言でとぼとぼと歩く。

何か話した方がいいのかな?なんて考えてみるけど、ネタが思いつかない。
合コンの間も、話した事と言えば最近流行ったドラマや音楽の事ばかりで、
職業が警察官ってこと以外、個人的なことは何も聞いていない。
私も名前しか言っていない気がする。

「俺ここ寄っていくけど。」
コンビニの前で一之瀬さんが立ち止まって言った。
「あ、それじゃあ、また・・。」

もう二度と会うこともないだろうから、「また」なんて言うのも変だとは思うんだけど、何となく社交辞令でそう口にすると、
一之瀬さんは、くいっと首を振って前方を差した。
外国人の人がするようなそのしぐさも、背の高い一之瀬さんにはすごく自然に見えた。