《翔太STORY》

「お願いねぇ!」

「……」

「……!」

確か……んーと、名前なんだっけ?聞こうと思ったら、小さい声だったし、いきなり話しかけられたし……

でもなんであいつ、言い返さないんだろ……

髪が長く、黒髪だ。目が隠れるほど前髪が長い。

蜘蛛現る。やっぱ、悲鳴上げんな。

「虫が、大嫌いで……」

「まあ、可愛いじゃん?それに、君ってさ、月みたいに綺麗だよね」

月は、目立たないように、周りを照らす。優しい光で。

「なんであたしなんかが可愛いんですか?あたしのどこが綺麗なんですか?」

「……っ!」

いきなり声を荒げる。