サラッ

「……!」

「やっぱ、こっちの方がいいな」

前髪を上げた。そうすると、また、彼の綺麗な顔が見えた。

「俺が想像した通り」

そう言いながら、スケッチブックをあたしに見せた。

「ーー……!!」

そこには、あたしの絵が描かれていた。

「今日、完成した。作品名は、『月になる瞬間』」

「えっ……」

「月ってさ、優しい明かりで辺りを照らすんだよ。月明かりで、夜景や夜桜や星を目立たせる。だから美麗はな、その優しい光や心で、みんなを照らす。目立たせる。だから月は、悪いことじゃないんだよ」

「月は、悪いことじゃない……?」