「ねえ倉木さん、ここのボール、片づけてくださらない?」

「あたし達、忙しくてぇ!」

「お願いねぇ!」

タッタッ

またか……

そう思いながら、あたし、倉木美麗はボールを片づけ始めた。

入学してから1ヶ月。お友達どころか、馴染めてもない。馴染むどころか、こき使われている。

あたしが、1つのボールに手を伸ばすと、誰かが先に、ボールを拾ってくれた。

「……!」

「んで1人でやってんの?」

男の人だ……

顔を上げると、学校一イケメンの、藤崎翔太さんが立っていた。

輪郭がよく、黒髪で前髪は、目にかかるくらいな感じ。二重で優しい眼差しの瞳。

「……っ!」

ヤバい……完全に、太陽だ……

「他のヤツらはどうしたんだ?今日、これ片づけんの、1班の女子だろ?」

「いいんです……あたしが、やるって言いましたから……」

「嘘」

「……!」

「押し付けられたんだろ」

鋭い……でも、本当のことは言えない……

「違います……本当です……本当にあたしがやりたいって言ったんです……」

「……そっか……」