我に返った取締役が苦笑いを見せた。


「ごめん。斉藤さん、お願い。」

「はい、本日のご予定ですが…………。」


やっと朝の報告が始められた。

さっきは本当に嬉しそうな顔をしていた。

その気持ちが凄く嬉しい。


「以上ですが、来週の会議資料はいつ迄にお待ちしますか?」

「あー、剛?」

「はい。」

「月曜の午前中に。」

「はい。」

「それと来月の高井戸ロジスティクスとの会議は?」

「開発企画部の榛名さんにお願い済みです。」

「そう。剛に会議後は報告に来るように念を押しておいて。」

「はい。」


いつもの取締役に戻っている。

指示された内容をメモしていく。


「後でコーヒーを。」

「はい。」


いつもの朝に戻っていた。

その日、取締役は黙々と仕事を進めていた。


「斉藤さん、明日は?」

「特に予定は入っておりません。」

「そう、ありがとう。」


あっという間に一日が過ぎていた。