「何ごとも全て誤解されることなく話を進められるのが一番ですけど、なかなかそういうわけにはいかないってのがこの世の中ですしね。特に副社長は大変なんじゃないですか?あれだけの外見だと」

早希のことを思い出してちょっと棘が出てしまった。
この人には関係ないことなのに。

「わが社の副社長はずいぶんと佐本さんに嫌われているようですね。仕方ないと思いますが」
林さんが困った顔をする。
そうだ、この人あっち側の人だった。

「申し訳ありません。調子に乗ってつい言いすぎてしまいました」
慌てて謝罪の言葉を口にする。

「いいえ、今回うちの副社長が早希さんを傷つけてしまったことに間違いはありません。ですが、副社長だけが悪かったわけではなく不運が重なったというか。もしも、もしもですが、この先早希さんが副社長を許すということになった時には佐本さんも副社長のことを許してあげてもらえませんか?」

「それは、そういう状況に進んでるってことですか?」

「いえ、まだですが、そうなるように鋭意努力中といったところですね。それに、どうやら私にも責任の一端があった可能性があります。いえ、これはプライベートなことなんですけど」

言葉を濁す林さんに違和感を感じる。
サイボーグだと思っていた以前は気が付かなかったけれど、よく見れば私もこの人の感情がうっすらと見えるようになったかもしれない。