*❀٭

「セリア・・・、あなたに渡したい物があるのだけど」

・・・珍しい。

シャーロットお姉さんから私に話しかけてくるなんて。

「・・・私も話したいことがあるのでちょうどよかったです

父からの手紙は?ありますか?」

お姉さんは基本とてもポーカーフェイスで、無表情である。

・・・父以外の人間には。

父にはあれほど優しい笑顔を見せるのだが、私には見せない。

『ミリヤは・・・優しいよ』

そうですか?

私にはやはり、冷たい人にしか見えません。

お父さんだけですよ、優しく感じるのは。

『本当はとても優しい人だよ

僕の事を自分より大事にしてくれた人』

・・・やはりお父さんだけです。

そう感じるのは。

「・・・セリア

これ、貴女に渡すよう言われたものよ

あら、何これ。

ひとつは手紙ね

・・・と、ネックレス・・・?」

お姉さんは不思議そうな顔をする。

・・・ネックレス・・・、あれ、これどこかでーーー

小さい氷の結晶のネックレス。

・・・これはーーー

「あの子がいつも付けてたネックレスね?」

ああ、そう、それです。

さすがお姉さん、気がつくのが早いですね。

私と大違い。

・・・けど、私だって父が大切なのです。

それは譲れない。

「これは、私に、ですか?」

「・・・それ以外無いでしょう

貴女に渡すよう言われたものよ?」

・・・たしかに・・・。

「開けなさい、その手紙

貴女に伝えたい何かがあるのでしょう?」

「・・・」

父は優しい。

「あけます・・・よ」

私が嫌がることなど書いてないのはわかっている。

けど、『遺言』となると少し重くなるのです。