浴槽の中で丹念に愛撫されているかの様な

優しい温もり

それはまた初春の日の光の様でもあり

止まっていた心臓は静かに動き始めた

貼り付いたまぶたの痛みが喜びへと変わり

手足の先はチクチクときしみだす

再び血の通う事に感謝し

涙を流しながら見た景色は

思っていたそれとは全く違っていた

「あ、マリちゃんおはよ」

「蛙って冬眠するんだってねー」

「あたしてっきり死んじゃったと思って」

「少し悲しくなっちゃったよ」

「はぁ・・・すいませんでした姫様」

「ところでここは・・・?」

「あぁ、闇市だってさ」

「そいでおっきいドングリあったじゃん」

「あれ国宝的な位置づけらしくてさ」

「やんばいらしいよリス王国の中じゃ」