患者様………怪我をしたり、病にかかった人のことを指す。




私は、それを治すのが仕事。












「では、怪我をしたとこを見せてください。」










患者様は、60歳の、お婆ちゃん。


少しドジで、よく転んだりして、よくここに来てる。











スっと差し出したのは、足。






また転んだのだろう。











太ももに大きな切り傷ができている。


すねや、膝にも傷や、あざがある。











私は、傷のあるところに手をかざして、



治れと、祈った。











そしたら、ポウっと、白い光が出て、傷がたちまち良くなった。











私は、生まれつき、“不思議な力”がある。










1つは、今の、傷や、病を治す力。






一般的には、『治癒の力』。









手を傷にかざして、治れと祈ると、あとかたもなく傷は、消えていく。






二つ目がなかなか厄介。






それは……、『消滅の力』。











…強い敵や、炎や、津波など、自分や誰かに危険なことが起きたら、





手をそれに向かって開いたら、手から白いブーメランみたいなのが、飛んでいく。






それに当たったりすると、たちまちそれに吸い込まれて消えてしまう。





という能力。








使うことがないし、危険だから、厄介なのだ。









「はい。治りましたよ。」







ニコッと、私は、笑った。









お婆ちゃんも、笑い返してくれた。



「ありがとうねぇ。……ありゃ、アリスちゃんまた綺麗になったねぇ。」






「変わってないですよ。」







ついこの間あったばかりじゃん。











「いんや。違うね。
白い髪が、また長くなったんじゃないのかい?」








「………そうかもしれませんね。」







言われてみれば、たしかに。










「その、赤と青の目は、力を使う時だけ、黄色と、緑になるんだねぇ。」







「そうですよ。」








「じゃあ、今日は、ありがとねぇ。また来るよ。」








お婆ちゃんは、てくてくと、教会をあとにした。











ガチャ






ボフ!


部屋に戻り、私は、ベッドにダイブした。










そうだよねぇ、私へんだよねぇ。







私の姿は、少し変わっている。





まず、髪の毛。


真っ白だ。








しかも、その白い髪が、足首まである。





衝撃的だ。





何度切っても、すぐ生えてくる。








次に、目。








私は、オッドアイ。









普段は、赤に青なのだが、


力を使う時だけ、黄色と緑になる。










そして、3つ目。







みんなは、気づいてないだけなのかもしれないが、







力を使うと、耳に、紫とピンクのイヤリングが出てくる。


もうなんとも不思議!!








どうしたら耳に出るの?







生えてくるの?







もう何なの!?

















「それ………どうしてか、教えて欲しい?」






どこからか、声がした。