「忙しいのに引き留めちゃって、ごめんなさい。水木さん。」
「えっ?」
2年間同じ学校に通ってたけど、私は木本先輩と話をしたことはない。ただ一方的に私が先輩を知っていただけのはずなのに、先輩は今、私の名前を呼んだ。
「初めまして、なんだけど、なんかそんな気がしないなぁ。よく練習、見に来てくれてたものね。」
そう言うことか、確かに私は由夏と一緒に去年の夏までは、本当によく野球部の練習を見に行っていた。木本先輩はそんな私達に気付いていたらしい。でも、その時も言葉を交わしたわけじゃない。
「今だから言うけど、実は私、あなたのこと調べさせてもらったことがあるの。」
「はい?」
木本先輩の笑顔は素敵だ。女の私ですら、見惚れてしまうくらい。だけど、その発する言葉はあまりに意外で、私は戸惑うばかりだ。
「野球部に入ってもらえないかなぁ、って思ってね。」
「私に、ですか?」
「うん、一緒にマネ-ジャ-やってもらえたらいいなぁって。」
目をパチクリさせるっていう表現は、古いかもしれないけど、今の私にはきっとピッタリなんじゃないかと思う。
「私、入部した時、先輩いなかったし、同学年の子もいなかった。2年になって、甲子園で優勝したから、今度は後輩が入ってくれると期待したんだけど、確かに部員は増えたんだけど、マネ-ジャ-志望の子は、来てくれなくて。」
そう言うと、ちょっと苦笑いを浮かべる木本先輩。
「そんな時に、水木さんなら、って思ったの。」
「なんで私だったんですか?」
あの時、練習を見に来てた子は、それこそ大勢いた。それなのに、なんで木本先輩は私に目を付けたんだろう?
「野球が好きそうに見えたから。」
「えっ?」
「練習を見に来てる女の子は大勢いた、みんなお目当ての選手がいて。もちろん、それが悪いなんて言うつもりはないよ。ウチは別に部内恋愛禁止じゃなかったし、現に私だって、部員と付き合ってたんだから。」
「・・・。」
「部員目当てだって、全然構わない。だけど偉そうな言い方になっちゃうけど、野球部のマネ-ジャ-は、やっぱり野球が好きじゃなきゃ、務まらないと思う。好きな人を支えてあげたい、側にいたいっていうのは1つの動機にはなるだろうけど、その選手だけのマネ-ジャ-じゃないからね。」
「私もそう思います・・・。」
「それで、あなたの名前とクラス調べて、教室まで行ったんだ。一緒にマネ-ジャ-やりませんかって言うつもりで。でも言えなかった。」
「どうしてですか?」
「あなたの姿はすぐ見つかった。いつも練習一緒に見に来てたお友達と、楽しそうに話してた。『今日、帰りにケ-キ食べに行こうよ』って。」
高校生になって、自分が急に大人になったような気がして、由夏と放課後よく遊んだな。でも木本さんにそんな会話を聞かれてたなんて。
「それを聞いて、正直あなた達が羨ましかった。部活が忙しくて、友達と遊びに行く時間なんてほとんどとれなかったから。マネ-ジャ-になったことを後悔したことも、辞めたいと思ったこともないんだけど、たまには友達と遊びに行きたいなぁと思ってたのも事実。だから自分から希望して入部してくれるなら、大歓迎だけど、こちらから誘うのは、ちょっと違うかなって気がして・・・。黙ってそのまま帰ってきちゃった。」
「そうだったんですか・・・。」
あまりにも意外な木本先輩の告白、だったら私も言っちゃおうかな。
「私もお話してもいいですか?実は私、野球部入るつもりだったんです。」
「えっ?」
「マネ-ジャ-やりたいと思って、友達誘ってグラウンドに行ったんです。」
「そうだったんだ・・・。」
「でも、その時、木本先輩の仕事っぷりを見て、おじけづいちゃって・・・。私達にはとても無理だねって。それで逃げ帰っちゃいました。」
今度は先輩が目を丸くする番だった。
「えっ?」
2年間同じ学校に通ってたけど、私は木本先輩と話をしたことはない。ただ一方的に私が先輩を知っていただけのはずなのに、先輩は今、私の名前を呼んだ。
「初めまして、なんだけど、なんかそんな気がしないなぁ。よく練習、見に来てくれてたものね。」
そう言うことか、確かに私は由夏と一緒に去年の夏までは、本当によく野球部の練習を見に行っていた。木本先輩はそんな私達に気付いていたらしい。でも、その時も言葉を交わしたわけじゃない。
「今だから言うけど、実は私、あなたのこと調べさせてもらったことがあるの。」
「はい?」
木本先輩の笑顔は素敵だ。女の私ですら、見惚れてしまうくらい。だけど、その発する言葉はあまりに意外で、私は戸惑うばかりだ。
「野球部に入ってもらえないかなぁ、って思ってね。」
「私に、ですか?」
「うん、一緒にマネ-ジャ-やってもらえたらいいなぁって。」
目をパチクリさせるっていう表現は、古いかもしれないけど、今の私にはきっとピッタリなんじゃないかと思う。
「私、入部した時、先輩いなかったし、同学年の子もいなかった。2年になって、甲子園で優勝したから、今度は後輩が入ってくれると期待したんだけど、確かに部員は増えたんだけど、マネ-ジャ-志望の子は、来てくれなくて。」
そう言うと、ちょっと苦笑いを浮かべる木本先輩。
「そんな時に、水木さんなら、って思ったの。」
「なんで私だったんですか?」
あの時、練習を見に来てた子は、それこそ大勢いた。それなのに、なんで木本先輩は私に目を付けたんだろう?
「野球が好きそうに見えたから。」
「えっ?」
「練習を見に来てる女の子は大勢いた、みんなお目当ての選手がいて。もちろん、それが悪いなんて言うつもりはないよ。ウチは別に部内恋愛禁止じゃなかったし、現に私だって、部員と付き合ってたんだから。」
「・・・。」
「部員目当てだって、全然構わない。だけど偉そうな言い方になっちゃうけど、野球部のマネ-ジャ-は、やっぱり野球が好きじゃなきゃ、務まらないと思う。好きな人を支えてあげたい、側にいたいっていうのは1つの動機にはなるだろうけど、その選手だけのマネ-ジャ-じゃないからね。」
「私もそう思います・・・。」
「それで、あなたの名前とクラス調べて、教室まで行ったんだ。一緒にマネ-ジャ-やりませんかって言うつもりで。でも言えなかった。」
「どうしてですか?」
「あなたの姿はすぐ見つかった。いつも練習一緒に見に来てたお友達と、楽しそうに話してた。『今日、帰りにケ-キ食べに行こうよ』って。」
高校生になって、自分が急に大人になったような気がして、由夏と放課後よく遊んだな。でも木本さんにそんな会話を聞かれてたなんて。
「それを聞いて、正直あなた達が羨ましかった。部活が忙しくて、友達と遊びに行く時間なんてほとんどとれなかったから。マネ-ジャ-になったことを後悔したことも、辞めたいと思ったこともないんだけど、たまには友達と遊びに行きたいなぁと思ってたのも事実。だから自分から希望して入部してくれるなら、大歓迎だけど、こちらから誘うのは、ちょっと違うかなって気がして・・・。黙ってそのまま帰ってきちゃった。」
「そうだったんですか・・・。」
あまりにも意外な木本先輩の告白、だったら私も言っちゃおうかな。
「私もお話してもいいですか?実は私、野球部入るつもりだったんです。」
「えっ?」
「マネ-ジャ-やりたいと思って、友達誘ってグラウンドに行ったんです。」
「そうだったんだ・・・。」
「でも、その時、木本先輩の仕事っぷりを見て、おじけづいちゃって・・・。私達にはとても無理だねって。それで逃げ帰っちゃいました。」
今度は先輩が目を丸くする番だった。


