「この間の映画、面白かったよね〜!」
「だな。あの角から登場する所とかが…」

俺は、現在の彼女、こはと下校していた。

「あーあの顔!超ウケた!」
「だよな。あれは俳優の顔じゃねーぞ笑」

「あ、お兄ちゃん!」
「え?」

突然現れたのは、5歳くらいの少女だった。
「1週間前に、風船取ってくれたお兄ちゃんだ!」
風船?あー、思い出した。

俺は1週間前、この女の子が風船取れないって言って泣いてたから、取ってやった。
優しいだろ?俺。

「あの時はありがとう!」
「あー、いいんだよあれくらい。」

こはは苦笑していた。
たが、この後の少女の言葉で笑いは止まる。

「あれ?この人お兄ちゃんの彼女?
おかしいな、1週間前は違う女の子と歩いてたのに。」
「え?…気のせいなんじゃないか?」
「気のせいじゃないよ。だって、この前の女の子はもうちょっと背が小さくて、髪が短かったもん。」
「…」

それは、前の彼女の事だった。
実は、その前からこはとは付き合っている。

こはは、少女の前にしゃがんで微笑んだ。
「ねえ、どこで風船取ってもらったの?」
「えっとねー、遊園地!」
「そう?ありがとう。お姉ちゃん、すごく助かっちゃった!」
「ううん!いいのー。お姉ちゃんは、お兄ちゃんの兄妹?それとも彼女?」

「お姉さんはねーこのお兄ちゃんの妹だよ。」
「!!」

俺は、こはの後で息を飲んだ。
「ほら、あそこにいるのお姉さんじゃない?行ってきな?」

「さなーー!」
「あ、お姉ちゃん!」
「もう、さなどこ行ってたの?
ずっと探して…あ。」

その姉は、知り合いだった。
間宮叶波という、同じ学年の女子。

「ど、どうも。」
俺達の気まずい状況を察したらしい。
「行こう、さな。2人とも、妹をありがとうございました。」
軽く会釈をして、2人は立ち去った。

「…ねぇ、1週間前ってさ、私達、もう付き合ってたよね?」
「……」

冷や汗をかき、俺は黙り込んだ。
「そうでしょ?浮気、してたって事?
今は?その人と付き合ってるの?」
「いや、今は付き合ってな…」

「どっちにしても、もう、終わりね。」

俺達は別れた。 チーーーン))

3日後の休み時間、俺は間宮に会った。
「おい、間宮。」
「…何?」
「全部、お前が悪いんだ。」

言った。言ってやった。
いつも塩対応の間宮はどんな反応を
するだろう。

泣く?それとも逃げ出す?
はは、笑える。

「…は?あんたが浮気性なのがいけないんでしょ?私、何もしてないんだけど。」

…は?はこっちのセリフなんだけど。
なんだそれ。俺のせいって言いたいのか。

「お前の…間宮の妹だ。いけないのは。
余計なことをベラベラとしゃべるから…。」
「いやいやいや。私の妹のせいにされちゃ困るわ。自分にも責任があるとは思えないの?ホント、ありえない。」

そのまま間宮は立ち去った。
あの時と同じように。

…なんだ、アイツ。ムカつくな。

俺は間宮を睨みつけた。