いつか淡い恋の先をキミと

二人が何を言っているのか分からず、困っているところに、


「まぁまぁ。せっかくだから楽しもうよ」


そう執り成すはやっぱり翼くん。


取り敢えずみんなで海に入ろうと言うことになり、波が来るか来ないかのところではしゃぐ事になった。


海水が冷たいのが妙に気持ちいい。


このままもうちょっとふくらはぎくらいの所までは浸かりたいと思い、進んでみた。


私は昔、海に来たことがあるのかな。


こんな潮風を感じながら海に入ったことがあるのかな。


――ただひたすらにそんなことを考えていた。


「くるみ」


そしてそんな思考を遮るかのように私の名前を呼んだのは陽平くんだった。


「陽平くん…?」


「一人で行ったら危ないだろ」


「ごめんなさい…」


「謝らなくてもいい。だから一人で行くな。俺を呼べ」


「…うん」


たった少しの距離なのにどうしてそこまで心配されるのかがイマイチわからず、曖昧な返事になってしまっていた。


そしてそんなあたしの曖昧な返事を掻き消すかのように、


「やだ、あの人超カッコよくない⁉︎」


「え、どこ? あ、ほんとだぁ!」


そんなやり取りが聞こえてきて、


「よかったらあたしたちと一緒に遊びませんかー?」


二人組の女の人が少し距離のある私と陽平くんの間に入ってきてそう言った。


またの思わぬ状況にどうすればいいのかわからず、ただ突っ立っていることしか出来なかった。


「悪ぃけど、俺、そいつがいるから無理」