「分かってる。さんきゅ、翼」


無理して笑う陽平にこっちが無理したくなる。


俺もわかってるんだ、お前がくるみのことをどれだけ好きかくらい。


だから余計にどうしたらいいのか分からなくなるんだよ。


ただ絶対に泣かせないっていう陽平の言葉を信じたかった。


榛名光流のことで傷付いたくるみを見てるのが辛かったから、余計にその思いが強くなる。


榛名光流自身はどう思っているのだろうか。


それすらも分からない。


いつも本を読んでるイメージしかないあいつがくるみのことをどう思っているかなんて、そんなこと。


知りたくもなかった。