「確かにそろそろ理由が知りたいところだな!」


そう乗っかったのは拓哉。


「でも言いたかったら言うでしょ」


流石は女子だな、と感心せざるを得ない言葉を言ったのは俺の彼女の悠実で、


「でもあたしも知りたいかも」


好奇心を抑えられないのは響子。


結局悠実も自分の意見が少数派だと悟ったのかそれ以上は何も言わずに、放課後俺たちがいつも通りに帰ってからしばらくした後に教室までくるみの様子を見に行くことになったことに関して最後まで何も言わなかった。


――そして放課後、ホームルームが終わってから五人で学校を出て、15分くらいくるみが校門から出てくるかを監視して出てこないのが分かってから教室に戻った。


この時はまだみんな好奇心故の行動だと自分を納得させて、くるみが何をしているのか分かったら何事もなかったかのように帰るだけだと思っていた。


でも、俺たちがそう思っていられたのは全員が教室を覗き込むまでだった。


一人ずつ教室にいるかどうかも分からないくるみにバレないように覗いたそこには、くるみが誰かと仲が良さそうに喋っている姿があった。


みんな一瞬自分の目を疑ったと思う。


くるみのその幸せそうな姿に。


もう一目見ただけであぁ、くるみはあの男のことが好きなんだなと誰もが分かるくらいに幸せそうなその姿に。


でも陽平がいる手前みんなそんなことを誰も口に出すことなど出来ずにいた。


「……んだよ、あれ……」


そう呟いた陽平に誰も返事をしなかったのは、その声があまりにもやるせない感じだったから。


俺たちどうすることも出来ないこの状況。


でもずっとここにいるわけにもいかず、取り敢えず学校を出ようと促した俺にみんな黙ってついてきた。