その姿にドキドキして仕方がない。


あたしの心臓の鼓動が聞こえてしまうんじゃないのか、って心配になっちゃうくらいドキドキしてる。


「一ノ瀬さん?」


「は、はい!」


「また敬語だ」


「ゴメンなさい」


「迷惑なんかじゃないよ…」


「え、本当?」


「うん。ここで話すのもあれだから屋上行かない?」


まさか榛名くんの口から屋上という言葉っていうか場所が出てくるとは思わず、ちょっと驚きながらも一緒に屋上に足を運んだ。


「うわー、すっごーい!」


高校に入学してから初めて来た屋上は見晴らしがとても良く風通しもよくて心地良い。


「榛名くん、よく来るの?」


「うん、過ごしやすい季節はね。それに今日なんかも涼しいから割と読書するにはうってつけなんだよ」


「そうなんだぁ。それより屋上にあがってもいいってあたし知らなかった。中学の時は立ち入り禁止だったから高校もそうだって思い込んでた」


「そういう人が多いんだろうね。実際ここに来る人あんまりいないし」


「やっぱり…でも、いいの?あたしにこの場所教えても」


「いいよ。別にここは俺だけの場所じゃないしね」


そうだよね…。


あたしだからいいだなんて言ってくれるんじゃないか、って期待したあたしが悪い。


「それより一ノ瀬さんはいいの?俺と一緒にいて」


「え?」


「いつも昼休みは仲の良い友達と喋ってるから」