いつか淡い恋の先をキミと

勝手なことをしてもう響子ちゃんたちは私に怒ってるのかもしれない。


先生にもう1人誰かを実行委員にと言われたけど、私にもう1人を選ぶ権利なんかないと気付かされる。


クラス全体をなんとなく見渡せば、響子ちゃんと悠美ちゃんと目が合った。


二人とも怒っているというよりは悲しそうな顔をしていた気がする。


気まずさからすぐに目を逸らしてしまったせいで確かなことは何も分からない。


ごめんね。


陽平くんの顔は一番怖くて見れないから、陽平くんの席からはずっと目を逸らしている。


「一ノ瀬は誰か一緒に実行委員をやりたい奴はいないのか?」


誰のことも選ばない私に痺れを切らした先生が聞いてくるけど、私は誰を選んだらいいのか——


「榛名くんにお願いしたいです」


——見つけた。


「じゃあ一ノ瀬と榛名で決まりだな。もう異論は認めないから、みんなよろしくな」


ホームルーム中にもかかわらず本を読んでいた榛名くんと目が合った時、私は榛名くんにお願いしようと決めた。


優しいから引き受けてくれると思ったんじゃない。


私は榛名くんと実行委員を一緒にやりたい。


「先生!榛名くんじゃなくてあたしがくるみと一緒に実行委員やるからかえてください!」


「さっき異論は認めないって言っただろう、森野。それに実行委員はクラスから男女一人ずつって決まりなのは分かってるだろう」


「でも…っ、」


「もう時間がないから次にクラスの出し物の案を出そう。いいな、森野」


「……はい」