いつか淡い恋の先をキミと

「どうかしたのか、くるみ」


「……陽平くんはいつも凄いね」


「え?」


「私のことちゃんと見ててくれるんだね」


私がそう言えば、照れたように「そんなんじゃねぇよ」と少し顔を赤くして陽平くんはそっぽを向いた。


その姿がなんだか可愛くて、


「じゃあ見てくれてないの?」


なんて言うと、


「見てるから…」


ボソッと私に聞こえるか聞こえないかくらいの声でそう囁いてくれた。


それから先生が来てホームルームが始まり、授業開始のチャイムが鳴った。


授業中、考えていたことは全く勉強とは関係のないこと。


さっき陽平くんが私のことを見てると言ってくれて安心した。


嬉しさよりも安堵が勝った。


でもそれは勝ったというよりも、自分自身がそうさせたということを私は分かっていた。


私は陽平くんに必要とされてることを実感したいだけ。


そんな自分が嫌で、でも陽平くんには見放されたくなくて、ジレンマに陥りかけてる。


「じゃあこれで授業は終わるが、今日の終わりのホームルームで文化祭の役割を決めるから、それまでに何がやりたいか考えておくように」


気が付けば授業も終わり、担任の先生による授業だった為、クラスについてのちょっとしたことを言われ、休み時間に差し掛かった。