いつか淡い恋の先をキミと

聞いてて微笑ましくなるような言葉だった。


「それと俺は悠実のそばにいたいって思う。もちろん、そばにいて欲しいとも思うよ。でもね、自分自身が相手に対してそばにいたいと思えるのが大事だと思うんだ」


「…そばにいたい…」


「そばにいて欲しいって思うより、くるみがそばにいたいって思った時が本当の恋――心から好きだって気持ち――なんじゃないかな」


「じゃあ私は陽平くんのこと…」


「じっくり考えてみたらいいよ。くるみは自分から陽平のこと知ろうとはしないでしょ?」


「……うん」


「少しずつ陽平のこと知っていけば気持ちはきっとはっきりするよ」


「…頑張ってみるね」


「いつでも俺はくるみのこと応援してるから」


「ありがとう、翼くん」


「あ、それとデートのことだけど」


「うん」


「デートはね義務でするものじゃないよ。恋人同士だから、付き合ってるから、じゃなくてね」


「どういうこと?」


「それは今週の日曜日、くるみが自分で答えをみつけるんだよ」


「みつけられるかな……」


「今週は無理でも回数を重ねればわかる時がきっとくるから」


「うん」


「じゃあそろそろ帰ろっか」


「そうだね」


それからの会話はあまり覚えてない。


「家」に着いてからもボーッとしてた。


分かることはただ翼くんの言葉が胸に染み渡って、私の中にちゃんと届いたということ。