いつか淡い恋の先をキミと

「それで何処に行くのかは秘密だって言われたんで合ってる?」


「そうだよ」


「夏休みとか今までの休みで陽平と二人だけ何処かへ行ったことはなかったの?」


「うん。陽平くんがうちに来ることはあったんだけど、出掛けたことはなかったの」


「そっか。で、くるみは何に悩んでる?」


「デートってどんな感じなんだろう、って」


「どんな感じ……」


「どうしてデートするの?」


「……くるみはしたくない?陽平とのデート」


「そんなことないよ…だけど気になって。付き合ってるからデートをするのが普通だってことも分かるの。恋人同士が二人だけで何処かへ出掛けるっていうのも分かるの。だけど私には分からないの」


「くるみ、それは違うよ――ちょっと公園のベンチに座ろっか」


おいで、と促して公園の方に入って行った翼くんのあとをついて行き、一緒にベンチへと腰掛けた。


真剣な表情の翼くんが私に何を言おうとしているのか全く分からなかった。


それは違うよ――何が違うんだろう。


恋人同士が二人だけでデートをすることの何が違うというのだろう。


「くるみは陽平のことどう思ってる?」


「……好き、だよ」


「どうしてそう思うの?」


「陽平くんは私のこと好きだって言ってくれるし、陽平くんは私を一人にしないって…私も陽平くんにそばにいてほしい。だから好きだって思う」


「そっか」


「……翼くんはどうして悠実ちゃんのことが好きだって思うの?」


「んー、そうだね。なんだろう俺の場合、悠実と一緒にいると落ち着くって感じかな。他の誰でもなく悠実だから、波長が合ってるんだと俺は勝手に思ってるんだけどね」